2015-08-04-Tue 大腸内視鏡検査 [長年日記]

■ 不二越病院へ。3年ごとに。前回二回ともポリープがあった。

今回もポリープがあれば、内視鏡で切ってもらい、一日、入院。

■ 「妻」ウンベルト サバ 「トリエステとひとりの女」より、須賀敦子訳。

うち沈んで家に戻ると、窓辺で

まっている彼女が、きれいな、いとしい

妻が、身ぶりひとつで、ぼくの悲しみを察して、

表情から不快その他を読みとると、たちまち、

しっかりとした二匹の蛇みたいな

優しい腕を首にまわして、抱きついてくる。

ぼくひとりを、彼女のきびしい声がなじる。

■ 「いいわよ」と言う。「そんな顔をして帰ってきて、

私にキッスもしてくれなくて、娘に笑ってやるでなし。

ただ、つったって、そっぽをむいて、だまってる。

じぶんを苛めぬくすごい才能なのかしら、あなたのは、

そう言いたくなるわよ。なのに私は・・・こっち見てよ、

私のことばが信じられないのなら、

涙が掘った、たくさんのすじを見てよ。

ひとりであなたを待っていたのよ、この家を

かたづけながら、ほら、

はじめての日みたいに、きれいにして、

あら、もう聞いていないのね。あきれたわ、

ほんとに腹がたつわよ。

だれかといっしょに棲んでるからには、

じぶんひとりの悩みにしておく

権利はないのよ。

ちゃんと打ち明けて、私たちの

中にいる、愛するものたちと、

分ちあうものよ」

■ 「うんざりだな、きみには、まったく」

ぼくは心のなかでそう返事する。そして考える。

この世でいっしょにどこかへ行ってしまいたいのは、

この悲しみだけ、この言葉のない悲しみのほかにはなにもないのを、

どうすれば、ぼくの天使がわかってくれるか。ぼくの痛みは

ぼくだけのもので、ぼくのたましいだけのものだと。

妻にだって、いとしい娘にだって、これだけは譲れない。

愛するものたちにも、公平に分けられない。


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